「さらなる復興を」県越えた祭典に笑顔 久々のまつりに喜ぶ声も

パレード終了後、客席に手を振る出演者
 秋田市で28日開幕した東北絆まつりには、東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島各県から計約400人がパレードやステージに出演した。会場では各県庁所在地の特産品販売ブースも運営。各県の参加者からは、さらなる復興への願いや、久々のまつりを喜ぶ声が聞かれた。

 宮城からは「日本一の和紙の祭典」と評される仙台七夕まつりが参加し、七夕飾りが会場各所に掲げられた。パレードやステージには扇子を手に華麗に跳ね踊る「仙台すずめ踊り」が出演した。

 踊り方の渡部和彦さん(54)=仙台市=は過去全ての東北六魂祭、絆まつりに参加。「出演者同士で話したり、会場で声をかけてもらったり、県を越えた人のつながりができるのが魅力。復興は少しずつ進んでいるけれど、祭りを通してますます笑顔になってほしい」と話した。

 福島からは、長さ12メートルの大わらじを担いで練り歩く「福島わらじまつり」が登場。福島わらじまつり実行委員会の齋藤嘉紀さん(49)=福島市=によると、わらじまつりは2019年に音楽も踊りも刷新したが、20、21年は新型コロナウイルス禍で披露する機会がなかった。

 「リニューアル後、福島県外で大規模にお披露目できたのは秋田が初めて」と齋藤さん。出演者の中には福島第一原発事故を受けて原発に近い浪江町から福島市に移り住んだ仲間もいるといい、「まだまだ大変なこともあるが、前を向いて突き進まないと。ただ、決して震災を忘れてはいけない」と話した。

 岩手からは、色鮮やかな衣装と迫力ある太鼓が特徴の「盛岡さんさ踊り」が登場。出演した藤村麻美子さん(28)=滝沢市=は「大規模なイベントは約3年ぶり。体力が落ちたのを実感したけれど、やっぱり楽しい」と笑顔。

 盛岡市の物販ブースで販売を担当する同市の佐々木雷蔵さん(63)は、津波被害が大きかった宮古市で幼少期を過ごした。震災後は被災地でボランティアに参加したという。「祭りを通じ復興を盛り上げられるのはうれしい。さんさ踊りは太鼓のリズムがいい。地元の祭りを改めて誇りに思った」

 パレードなどに先立ち、健康広場で行った開祭式では、参加者が震災犠牲者に黙とうをささげた。西銘恒三郎復興大臣は「震災で大きな被害を受けた地域ではインフラ整備がおおむね完了した。福島の原子力災害被災地域の復興再生は引き続き、国が帰還に向けた生活環境の整備や産業の再生支援を進める。被災者に寄り添い、東北の発展に全力で取り組む」と述べた。


「見ている人が明るくなるような演技を」竿燈の差し手・伊藤さん



 東北絆まつりで竿燈の演技を披露した伊藤貴博さん(32)=秋田市高陽幸町、小売業=は、2012年に盛岡市で開かれた第2回の東北六魂祭から毎年、六魂祭と絆まつりに下米町一丁目町内の差し手として参加してきた。

 各県の祭りの演者たちが共に参加するパレードでは、お互いの演技を間近に見る。毎年顔を合わせる人もおり、パレード中に言葉を交わしたり、動きをまねして動いたり。「パレードを見た」という他県の人が、8月の秋田竿燈まつりを訪れ、声をかけてくれたこともあった。

 11年と15年には、東日本大震災で被災した岩手県大船渡市と宮城県気仙沼市を仲間と共に訪れ、竿燈を披露した。

 11年10月に被災地で目にした光景は衝撃的だった。建物がなく、あちらこちらで車がひっくり返っていた。

 高台に建てられた仮設住宅近くの広場でさおを上げた。「少しでも前向きな気持ちになってもらいたい」。思いを込めて演技すると拍手が起こり、「よく来てくれた」「ありがとう」と言葉をもらった。

 5年ほど前、秋田竿燈まつりで、伊藤さんの町内を探し、声をかけてきた小学生がいた。15年に気仙沼市の小学校で竿燈を披露した際、「感動した」と声をかけてくれた女の子だった。

 「秋田でも出会えたことが本当にうれしかった。祭りを通して、東北他県の人たちとつながりができた」

 6県の祭りが7年ぶりに、秋田に集まった。「地元開催ということで、竿燈関係者はみんな気持ちが高まっている。持っている技を発揮して、見る人が明るく元気になるよう、良いパフォーマンスをしたい」と意気込み、まつりに臨んだ。

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