花筏の中、観光舟をこぐ小田桐さん

 開催中の弘前さくらまつりで、弘前公園の「中堀観光舟」船頭を務める青森県弘前市の小田桐範明さん(67)が、新型コロナウイルス禍の2年連続の運航中止を乗り越え、今年念願の「春」デビューを果たした。堀一面の花筏(はないかだ)の中へ舟を進めながら「心待ちにしていた美しい光景。お客さんにも喜んでもらえてうれしい」とやりがいを感じている。

 25日午後、小田桐さんは長いさおを操り、13人乗りの和舟をゆっくりと進ませた。堀の上にせり出した桜の花々をくぐり、花筏の中を進むと、水面に一筋の航跡が描かれた。乗客は夢中でシャッターを切ったり、頭上の橋を渡る観光客に手を振ったり。小田桐さんは「上も下も桜。やっぱりさくらまつりはいいね」と目を細めた。

 観光舟は2017年からさくらまつりなどに合わせて運航。福岡県柳川市の名物「水郷・柳川の川下り」などから船頭を招いていたが、19年5月から船頭の育成を開始した。小田桐さんら2人は19年秋の「弘前城菊と紅葉まつり」で初の地元船頭となったが、その後のコロナ禍で、さくらまつりでの運航ができずにいた。

 昨秋の紅葉まつり以来の運航に、小田桐さんは「ちょっと風が吹くと、すぐ舟の向きが変わってしまう。柳川の師匠はやっぱりうまい」と感心。舟に同乗するガイド仲間は「小田桐さんはボランティアガイドもしているので、公園の知識がすごい」と話す。

 弘前に観光客を呼び込み活気づけたい-と船頭を志した小田桐さん。コロナ禍はショックだったといい「観光舟が、街が元気を取り戻すきっかけの一つになれば」と期待を込めた。

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