震災10年に開店「天命」 大船渡流ガレット提供、7日にカフェ

7日の開店を前にガレットの試作を重ねる平山朗さん(右)、幸子さん夫妻
 東日本大震災で母を失った大船渡市大船渡町の平山朗(あきら)さん(59)は7日、同町内でガレットを提供するカフェ「アンテンヌ」を開店する。妻幸子さん(52)と本場フランスで基礎を学び、地元食材を盛り込む「大船渡のガレット」作りに挑戦する。震災でまちづくりへの思いが強まり、会社員を辞めて起業。「震災10年のタイミングは天命」と亡き人を思いながら開店の日を迎える。

 キッチンで商品の研究に余念がない平山さん。そば粉を混ぜた生地を鉄板に注ぎ、クレープのようにのばす。卵やハム、チーズをのせ、正方形に折りたたむとガレットの完成だ。

 開店まであと数日。「コロナ禍で不安もあるが、還暦で仕事を変えてスタートできるわくわく感も大きい」と笑顔を見せる。

 あの日、平山さんと2人暮らしだった母光子さん=当時(77)=は一度避難したものの自宅に戻り、津波にのまれた。平山さんはつえをつきながらがれきの上を歩き母を捜した。遺体は5月に見つかった。

 市内で鉱山関係の企業に勤めていた平山さん。ハード面で復興に貢献するやりがいを感じていたが「人の心の復興は難しい。何かしたい」と2019年2月に会社を早期退職した。

 初めからガレットに着目していたわけではない。転機は東京から大船渡に移住した女性の存在。カフェの開店やフランスでの修業を提案され、20年1月、クレープ職人を育成する現地の教育機関で2週間学んだ。

 大船渡産のカキやワカメ、ホタテなどを使ったガレット、クレープも提供予定で「気軽にわいわいと話ができる場になってほしい」と願う。

 店は母が見つかった場所の近く。昨夏開店の予定だったが、コロナの影響で震災10年の節目の月となった。「天命、運命だったのかな。ここまで来たらやるしかない」。多くの人に支えられ一歩を踏みだす。

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