オンライン語り部 始動 釜石・いのちをつなぐ未来館と宝来館

画面越しに花王グループの社員らとやりとりする菊池のどかさん。震災時の避難行動や教訓を伝えた
 釜石市鵜住居(うのすまい)町の震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」と旅館・宝来館で15日、オンラインによる東日本大震災の語り部が行われた。被災地への来訪者減少や新型コロナウイルス感染症の影響などで発信機会が限られる中、新たな伝承の形として初めて実施。参加者らは命を守る教訓を共有し、多様な手段で語り継ぐ意義を再認識した。

 ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を活用し、未来館を指定管理するかまいしDMC社員や宝来館職員、花王グループ社員ら19人が参加。未来館の語り部、菊池のどかさん(24)は震災当日の避難行動などを説明し、「未来の子どもたちを助けるために伝えたい」と訴えた。

 震災後、同市に移住した宝来館職員の広田一樹さん(34)はラグビーワールドカップ(W杯)誘致を挙げ「スポーツを通じたまちづくりを進め、安全に楽しめる環境を提供していきたい」と語った。

 震災風化が懸念される中、未来に向けた決意も共有。かまいしDMC社員の小松野麻実さん(23)は「次の世代へつなぐパイプ役として全力で走り続ける」、未来館語り部の川崎杏樹(あき)さん(23)は「災害で失われる命をなくすため、防災を考えるきっかけになりたい。全国に発信し続けたい」と強調した。

 取り組みは岩手日報社などによるスマイルとうほくプロジェクト(花王特別協賛)の一環。持続的な伝承活動の仕組みとして、今後取り組みを本格化する。

 参加した花王事業ESG推進部の松本彰部長(55)は「画面越しに避難時の迫力も伝わった。被災地をもっと知りたいと思うきっかけ、現場に行けない人の新たな寄り添い方にもなる」と可能性を実感した。

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