
東日本大震災で祖母を亡くした山田町大沢の堂田祐輔さん(29)は昨年9月、同町中央町に手作りパン店「山田湾ベーカリー」をオープンした。祖母の良子さん=当時(80)=は、生まれつき聴覚に障害があった堂田さんに言葉と料理を教えてくれた人だった。故郷ががれきに覆われ、最愛の祖母を亡くした「あの日」から9年。「お客さんが笑顔になるパンを作り続け、みんなで山田を盛り上げていく」。天国の良子さんに誓った。
堂田さんは11日、パン屋で客の対応やパン作りに追われた。午後2時46分になると手を止め、良子さんを思って黙とうした。
9年前の同時刻、堂田さんは調理師を目指す専門学校の卒業式で盛岡市にいた。3日後にようやく故郷に戻ると、津波と火災で故郷は大きな被害を受け、介護老人保健施設にいた良子さんが亡くなったことを知った。
先天性難聴だった自分に、丁寧に言葉を教えてくれた良子さん。震災前、家でパンを作ってあげると「おいしいね」と笑っていた。今でも、習った料理や洗濯をしていると当時を思い出す。
悲しみを乗り越えて故郷を盛り上げようと、2011年から2年間は県内外のパン工房で修業を積んだ。13年に山田町内の仮設店舗でパン屋を始め、昨年9月、念願の自身の店を開いた。良子さんの好きだったジャムパンとあんパンも店頭に並ぶ。
復興が進む故郷。店舗や住まいは再建してきたが、震災前のにぎわいはまだ戻っていないように感じてしまう。「祖母の気持ちも背負って、山田をもっと明るい町にしていきたい」と誓った。
堂田さんは11日、パン屋で客の対応やパン作りに追われた。午後2時46分になると手を止め、良子さんを思って黙とうした。
9年前の同時刻、堂田さんは調理師を目指す専門学校の卒業式で盛岡市にいた。3日後にようやく故郷に戻ると、津波と火災で故郷は大きな被害を受け、介護老人保健施設にいた良子さんが亡くなったことを知った。
先天性難聴だった自分に、丁寧に言葉を教えてくれた良子さん。震災前、家でパンを作ってあげると「おいしいね」と笑っていた。今でも、習った料理や洗濯をしていると当時を思い出す。
悲しみを乗り越えて故郷を盛り上げようと、2011年から2年間は県内外のパン工房で修業を積んだ。13年に山田町内の仮設店舗でパン屋を始め、昨年9月、念願の自身の店を開いた。良子さんの好きだったジャムパンとあんパンも店頭に並ぶ。
復興が進む故郷。店舗や住まいは再建してきたが、震災前のにぎわいはまだ戻っていないように感じてしまう。「祖母の気持ちも背負って、山田をもっと明るい町にしていきたい」と誓った。