トナカイ飼育に最高賞 大森山動物園、6年の試行錯誤が結実

園内の池を気持ちよさそうに泳ぐトナカイ=2018年8月
 飼育動物の生活環境を豊かにする優れた取り組みを表彰する「環境エンリッチメント大賞2019」で、秋田市浜田のあきぎんオモリンの森(大森山動物園、小松守園長)のトナカイ飼育が最高賞の大賞に輝いた。トナカイが苦手な夏の暑さ対策として、水辺での放牧飼育に取り組んだことなどが評価された。

 コンテストは動物愛好家らでつくるNPO法人・市民ZOOネットワーク(東京)の主催。02年に始まり、18回目の今回は、全国の動物園や水族館、一般市民などから50件(重複を含む)の応募があった。大学教授ら審査員5人による書類審査と現地調査を経て、同園を含む3施設が大賞に選ばれた。

◇ ◇ ◇

 「動物にとって幸せな暮らしを追求したい」―。大森山動物園は、夏の暑さや歯の摩耗といった課題を解決しようと、飼育展示担当の柴田典弘さん(45)を中心に試行錯誤を繰り返し、6年をかけて水辺での放牧という飼育方法にたどり着いた。

 最初に取り組んだのが食事の改善。当時、与えていた干し草は硬すぎて歯が摩耗する原因になっていた。好みの草を探ろうとリードを付けて園内を散歩させたところ、クワの葉など柔らかいものを積極的に食べることが分かった。早速、干し草を替えると体はどんどん大きくなり、動物園での平均寿命の10年を超えて生きるようになった。

 続いて夏の暑さ対策にも取り組んだ。北極圏周辺に生息するトナカイは、気温が25度を超えると息が上がり出す。2014年10月、散歩中のルドルフ(雄、当時1歳)が園内の池へ足を踏み入れたことがあり、「水辺に行けば泳ぐのでは」と思い付いたという。

 15年5月、最も懐いていたサクラ(雌、同10歳)を池に放したところ、自発的に泳ぎだし、ためらう仲間を前に率先して泳いだり、16年に生まれた元気(雄)に生後2カ月で泳ぎを教えたりした。柴田さんは「元気が泳いだ時の感動は忘れられない。親と子、仲間同士で泳ぎを教え合う野生に近いトナカイの姿が実現すると確信した」と振り返る。

 その後、18年夏に2週間連続、19年に4カ月間連続と、長期間の放牧に成功。岩手大学の研究チームと実施した放牧や水浴時の体温変化の調査などにも取り組み、飼育環境の改善を進めている。柴田さんは「動物たちに『大森山にいたおかげで健康に長生きできた』『幸せだった』と思ってもらえるよう、これからも力を注ぎたい」と前を見据えた。

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