羽越線の四季、一冊に 秋田市の鉄道カメラマン、50年撮りためた作品を厳選

50年以上撮りためた数々の力作が収められている
 秋田県と新潟県を結ぶJR羽越線が7月末で全線開通から100周年を迎えるのに合わせ、鉄道カメラマンの佐藤和博さん(74)=秋田市外旭川=が、写真集「羽越本線100周年」を自費出版した。1970年から撮りためてきた作品の中から力作を厳選。「カメラマンとしての活動の集大成」と語る。


 写真集には、佐藤さんが70年7月から今年4月まで50年以上撮影した約90枚を掲載。水を張った田んぼに車体を映す貨物列車、夏晴れの日本海沿いを走る普通列車、黄金色に染まった田園地帯を進む特急「いなほ」など、四季折々の風景を走るさまざまな車両の姿を活写している。

 「あけぼの」や「日本海」、「トワイライトエクスプレス」など、既に廃止された寝台列車の写真も掲載。72年に全線が電化された際のセレモニーの様子や、本荘高校硬式野球部が2008年夏の全国高校野球選手権大会に出場した際に応援団を輸送した臨時列車が走る姿など、貴重な瞬間を捉えた写真も数多く収めている。

 最も古い作品は1970年7月の蒸気機関車の写真。佐藤さんは「蒸気機関車こそ、鉄道写真に没頭するようになったきっかけ」と話す。

 由利本荘市矢島町出身の佐藤さんは幼いころ、祖母と一緒に国鉄矢島線(現由利高原鉄道鳥海山ろく線)の矢島駅へ蒸気機関車を見に行き、憧れを覚えた。本荘高校を卒業し、秋田市内で農業団体に就職した後も思いは消えず、写真に収めようと給料をはたいてフィルムカメラを購入。これを機に鉄道写真の魅力にはまり、羽越線や鳥海山ろく線などの写真撮影に出かけるようになった。

 2007年に農業団体を退職し、11年にJR東日本グループの広告会社ジェイアール東日本企画(東京)のオフィシャルカメラマンに転身。作品はJR東日本のポスターなどに採用されている。

 「鳥海山や日本海など、沿線に豊かな自然がある。景色に列車を写し込むのが一番楽しい」。羽越線で写真を撮る魅力について、佐藤さんはそう語る。「写真集には、これまで多くの写真を撮らせてくれた羽越線への感謝も込めている。見た人が素晴らしさを再認識し『乗ってみようかな』と思ってくれたらうれしい」

 写真集は先月出版。A4判112ページで2640円。由利高原鉄道本社(矢島駅内)で販売している。今後秋田市内の書店でも販売する予定。

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