亀寿司食堂のにぎりずし復活 職人の父亡き後、息子が修業経て継承

7年間の修業を経てすし職人として亀寿司食堂に加わった慎吾さん(左)と重隆さん
 秋田県男鹿市北浦の亀寿司(ずし)食堂(三浦重隆店主)が、休止していたにぎりずしの提供を再開した。重隆さん(60)の弟で、すし職人だった力太(りきお)さんは、8年前に49歳で他界。その息子慎吾さん(25)が修業を経て、地元で親しまれる名店の看板メニューを復活させた。

 亀寿司食堂は1968年、重隆さん、力太さん兄弟の父が創業。力太さんがすしを握り、重隆さんがすし以外の調理を担当して、長年2人で切り盛りしてきた。

 北浦漁港のすぐそばに店を構え、地元の海産物を使ったメニューが楽しめる大衆食堂・すし店として人気を集め、観光シーズンには県外からも客が訪れ繁盛してきた。

 重隆さんが「腕のいい職人で、頼りになる弟」と信頼を寄せていた力太さんは、2015年に病気で他界。すし職人が不在になり、刺し身など魚料理は提供できても、店名に掲げる肝心のすしが出せなくなった。売り上げも落ち込み、重隆さんの気持ちも沈んだ。

 そんな状況に、当時男鹿海洋高校2年だった慎吾さんが決意を固めた。「父親の代わりに自分が握る」

 高校を卒業後、東京・築地のすし店で2年半、宮城県塩釜市で4年半修業を重ねた。職人としてのいろはを学び、昨年帰郷。今年2月から板場に立ち、にぎりずしを提供している。

 慎吾さんは「お待たせしました」とほほ笑み、「地元の旬の魚で多くの人に喜んでもらい、父親と同じようにたくさんのお客さまを呼べるようになりたい」と意気込む。

 重隆さんは「後を継いでくれて本当にうれしい」と目を細め「魚のさばき方、切り方、握り方、どれをとってもうまい。弟のすしもいいけれど、慎吾のすしも絶品」と笑顔を見せる。

 営業時間は昼が午前11時半~午後2時、夜が午後5~9時。持ち帰りも可能。火曜定休。亀寿司食堂TEL0185・33・2049

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