伝統の舞、厳かに 鹿角市で無形文化遺産「大日堂舞楽」奉納

能衆が金や黒の面を着け、太刀を片手に踊る五大尊舞=2日
 国の重要無形民俗文化財で国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている秋田県鹿角市の大日堂舞楽が2日、同市八幡平の大日霊貴(おおひるめむち)神社に奉納され、地元の能衆が約1300年前から伝わるとされる伝統の舞を厳かに演じた。新型コロナウイルス対策で、参拝客を北東北3県の在住者に限定した。

 舞楽を受け継ぐ八幡平地域の4集落(大里、小豆沢、長嶺、谷内)の能衆が、午前9時半すぎから社殿中央の舞台に立ち、太鼓や笛の音に合わせて七つの本舞を奉納。獅子頭を荒々しく操る権現舞や、竹をつなぎ合わせて馬をかたどった舞具を身に着ける駒舞、金や黒の面を着けて太刀を片手に踊る五大尊舞などを次々に披露した。

 参拝客は舞台を囲み、舞にじっくり見入ったり、スマートフォンのカメラで撮影したりしていた。帰省先の岩手県紫波町から鑑賞ツアーに参加し来場した大学生酒井颯太さん(19)は「五大尊舞の金の面が印象的で、迫力ある太鼓の音に圧倒された。初めて見ることができて、よい経験になった」と話した。

 大日堂舞楽は、718(養老2)年に神社が再建された際、奈良の都から来た楽人が伝えたのが起源とされる。国の平安、五穀豊穣(ほうじょう)、無病息災などの祈りを込め、毎年1月2日に奉納されている。2009年にユネスコ無形文化遺産に登録された。

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