大潟村の72歳、パラグライダーで山脈越え太平洋岸へ 空中で「いける」と判断、ルート変更

 秋田県男鹿市の寒風山パラグライダースクールで校長を務める小野寺久憲さん(72)=大潟村=が、日本海側にある寒風山から太平洋に面した岩手県久慈市まで無着陸で飛行することに成功した。パラグライダーで本州の山脈を越えて横断に成功したのは初めて。小野寺さんは「太平洋が見えたときは『やったぞ』と声が出た」と歓喜の瞬間を振り返る。

 動力を持たないパラグライダーは上昇気流に乗って高度を稼ぎ、滑空しながら前進する。これを繰り返すことで長距離飛行が可能になる。

 小野寺さんは4月28日、上昇気流の存在を示す雲がいくつも出ていることから出発を決断。標高354メートルの寒風山を午前10時過ぎに飛び立つと、旋回しながらすぐさま高度千メートルほどまで上昇した。

 当初の目標は青森県大鰐町。北東方向へと進み目的地が近づいたころ、高度を確認すると2千メートルほどあった。「達成は確実」とみた小野寺さんは「このまま降りるのはもったいない」と県境付近の上空で90度方向転換。いつかは挑戦してみたいと思っていた太平洋を目指すことにした。

 雲の発生状況や地形を見て、常に次の上昇気流の発生を予測しながらの飛行。読み通りに上昇気流をつかまえ続け、平均約1500メートルの高度をキープした。まだ雪の残る奥羽山脈も悠々と越え、岩手県へ。二戸市で太平洋が遠くに見えると、動画を撮影しながら「とうとう太平洋まで来ました」「日本列島を横断しました」と感激して声を上げたという。

 そして飛び立ってから約6時間後。久慈市の河川敷に無事降り立ち、直線距離で164キロの空中散歩を終えた。

 全国のスクールなどが加盟する日本パラグライダー協会の会長も務める小野寺さんによると、パラグライダーで本州の横断に成功した例は過去にないという。

 かつてはパラグライダーのワールドカップを転戦するなど世界で戦った小野寺さん。引退後はスクールで普及活動に力を注いできたが、10年ほど前に業界の第一人者から言われた「自分自身が楽しんで空を飛ぶ姿を見せなさい」との言葉が胸に響いた。それ以来、目いっぱいパラグライダーを楽しむようになり、国内大会に参戦したり、長距離飛行に挑んだりと、スカイスポーツの魅力を背中で伝えている。

 「パラグライダーは生涯スポーツで、いくつになってもこんなに楽しめる。トンビのように自由に空を飛ぶ魅力を知ってもらいたい」と力を込める。小学生の時、トンビが羽ばたきもせず輪を描いて宙を舞う姿を見た。「あんな風に自由に空を飛んでみたい」と夢見た少年は、古希を過ぎてもなお大空を舞台に躍動を続ける。

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