岩谷堂箪笥 奮闘地元から 出荷半減、5日から奥州で販売会

繊細な金具を手作りする及川洋さん。コロナ禍でも「こだわりあるものを作る」と職人としての意地をのぞかせる
 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、奥州市伝統の岩谷堂箪笥(たんす)が苦境に立たされている。高いブランド力があるものの、大手百貨店の客足が戻らず国内出荷は半減。この窮状を打破しようと岩谷堂箪笥生産協同組合(三品健悦理事長、4事業所)は5日から同市内で販売会を開き、地元を足掛かりに回復を目指す。

 岩谷堂箪笥は江戸時代から受け継がれるとされる伝統的工芸品。漆塗りの美しさや、繊細な飾り金具のつくりが特長だ。現在の売れ筋は小型・中型たんす(20万~40万円程度)で、洋間にも合う脚付きやデザイン性が高い車付きが人気を集める。

 だが、生活様式の変化に伴い、全国向け出荷額は1990年代半ばの年間7億円をピークに近年は1億円前後に減少。コロナ禍の2020年度はさらに半減する見通しだ。

 高い技術力を生かして受注生産に応じる半面、「受注から制作を経て納金まで4カ月程度」(同組合)と一定の時間がかかる。受注数の回復が見込めない中で影響の長期化が懸念され、組合の福嶋真里事務局長(63)は「各事業所はコロナ関連の支援策を受けながら何とか操業している」と明かす。

 従業員を休ませて急場をしのぐ事業所もある中、組合は同市江刺岩谷堂のえさし藤原の郷レストハウスで販売会を企画。5~8日に小物を中心としたブランド「岩谷堂くらしな」シリーズを含め、約200点をそろえる。

 販売会は「全品4割引き」の特別価格に設定するが、量販と異なる価値を求めてきたからこその悩みも。受注に応じて竜など立体感ある金具を手作りする及川洋伝統工芸士(46)=彫金工芸菊広=は「良い物を作り、高い値段で売りたい」と本音をのぞかせる。

 福嶋事務局長は「職人の思いも分かる。ただ、全国からお客さんを呼べない状況の中、まずは地元の方々に岩谷堂箪笥を身近に感じてもらう機会をつくりたい」と語る。販売会は午前10時~午後5時。問い合わせは同組合(0197・35・0275)へ。

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