愛され90年 高権が閉店 花巻の中華そば店、ファン惜別

最後の一杯を味わう常連客ら
 花巻市大通りの老舗中華そば店、高権(たかごん)(高橋幹子店主)が30日閉店した。幹子さん(82)の夫で先代の邦夫さん=2018年6月死去=が「俺の代でやめる」と語っていたといい、区切りを付けたいとの思いで決断した。地域から「権さん」の名で親しまれ、卵でとじたあんかけの「高権麺」は通称「ごんめん」と呼ばれた。名店は全国のファンに惜しまれながら90年近い歴史に幕を下ろした。

 最終日は午前8時ごろから客が並び始め、同11時の開店前に予定杯数に達した。幹子さんと長女の木戸口芳江さん(56)、次女の高橋久美子さん(52)らが店に立ち、高権麺や創業時の味を守る中華そばなど、「最後の一杯」を堪能したファンに感謝の言葉を伝えた。

 高権は、邦夫さんの父高橋権治(ごんじ)さん(故人)が1934(昭和9)年ごろ創業。邦夫さんは明治大卒業後に帰郷し58年ごろに本格的に店を継いだ。

 高権麺は邦夫さんが約40年前に開発。家庭料理のように優しく、体の芯まで温まる味わいでファンを魅了。卵や白菜、干しシイタケ、豚肉、麺、しょうゆなどは花巻産にこだわり、地元業者から仕入れた。

 東日本大震災の直後は近隣住民を招いて振る舞った。同市末広町の会社役員山田道宏さん(51)は「停電の中で親戚の安否や家々の被害を確認し合って食べた。心に染み心が温まる味だった。最後の日も食べることができた」と感無量の様子だった。

 閉店の話が10月末ごろから広まり、「食べ納め」のファンが全国から来店。一方、新型コロナウイルス感染症対策で席数を少なくし客数を制限し、入り口と窓を全開にして営業した。

 最後の日も、スープも平らげ満足そうな顔が並んだ。60年近く店に立ち続けた幹子さんは「ずっと、お客さんに喜ばれる商売を、と思ってやってきた。最後までそれができた」と万感の思いに浸った。

花巻市

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