名店のギョーザ守りたい 花巻・上町家守舎、「夜来香」の事業継承

菊池英樹さん(左)にギョーザの焼き方のこつを教える夜来香の伊藤達夫オーナー=花巻市双葉町
 花巻のソウルフードをなくしたくない-。花巻市上町のマルカンビル大食堂を運営する上町家守舎(かみちょうやもりしゃ)(小友康広社長)は、来年1月から、同市双葉町のギョーザ店夜来香(イエライシャン、伊藤達夫オーナー)の経営を引き継ぐ。高齢のため畳もうとしていた人気店を惜しみ「大食堂ならさらに事業発展できる」と提案。創業以来65年にわたり市民に愛された味は受け継がれ、同店に加え大食堂での提供など新展開も思い描く。

 夜来香の厨房(ちゅうぼう)で、フライパンに円盤状に敷き詰められた熱々のギョーザ。ごま油の香りが食欲をそそる。県産豚ひき肉とたっぷりの野菜を直径5センチの厚めの皮で包み込み、小ぶりだがカリッとした食感とジューシー感が魅力だ。伊藤オーナー(73)が上町家守舎の菊池英樹・レストラン事業部長(54)に焼き方のこつを手ほどきする。

 1月以降夜来香の実質的店長となる菊池部長と伊藤オーナーはかつて少年野球チーム「高木団地スパイダーズ」で監督と選手の間柄。その時以来の指導に菊池部長は「味が変わったと言われないよう、しっかり技術を身に付けたい」と意気込む。

 同店は1955年、伊藤オーナーの母ノブさん(2015年死去)が友人と2人で開業。ノブさんは41(昭和16)年、近所の菓子店関係者に誘われ中国山西省太原(たいげん)に渡った。菓子作りの傍ら通った食堂のギョーザを気に入り、独学で作り方を習得。帰国後に本場の味を市民に提供してきた。

 伊藤オーナーは76年からノブさんと店に立ち、05年からは妻みどりさん(73)と営んできた。ギョーザは15個600円。約5時間かけて仕込んだものが、予約注文も含めて開店30分で完売することもある人気店だが「老後を妻とゆっくり過ごしたい」と75歳を前に閉じる予定だった。

 意向を耳にした小友社長(37)は夜来香を継ぎ大食堂でもギョーザを提供したい考えを伝えた。譲渡の打診は他にも数件寄せられたが伊藤オーナーは「何度も店に足を運んでくれて情熱を感じた。大食堂で家族が円盤ギョーザを食べる姿がしっくりきた。母も喜んでくれる」とバトンを託すことを決めた。

 上町家守舎の事業継承は17年のマルカンビル大食堂の再開に続く第2弾。コロナ禍で大食堂は5~10月の売り上げが前年比約3割減った。ギョーザは大食堂での販売やテークアウトの可能性もある。時短営業しているが、ギョーザの仕込みや夜来香での勤務など新たな業務の創出も見据える。

 小友社長は「夜来香が市民から愛されている度合いは大食堂に匹敵する。冷凍ギョーザの開発など全国の人に食べてもらえる工夫をしていく」と構想を描く。

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