ナンシー関の芸術性に光/青森県美10日から特集展示

ナンシーさんの作品が持つ芸術性に着目したコレクション展。手前に見えるのはナンシーさんが制作した消しゴム版画のはんこ、ブラウン管のテレビの右側には生前に録画したテレビ番組のビデオテープが並ぶ=9日、県立美術館

 青森市出身の消しゴム版画家でコラムニストのナンシー関さん(本名・関直美、1962~2002年)の作品が持つ芸術性に光を当てるコレクション展特集展示「ウェルカム・バック、ナンシー関!」が10日、同市の県立美術館で開幕する。故郷の美術館が、ナンシーさんの作品を芸術的な観点から本格的に紹介する初の展示となる。

 ナンシーさんは1985年に消しゴム版画家としてデビュー。「週刊文春」「週刊朝日」などに連載を持ち、消しゴム版画を添えたコラムでテレビ文化を鋭く批評し人気を博した。没後も全国各地で回顧展が開かれてきたが、今回はコラムニストとしてのナンシーさんにとどまらず、版画家としての表現や作品の芸術的価値に焦点を当てる。

 展示では80~90年代のテレビや雑誌文化をひもときながら、「表現者・ナンシー関」が生まれた背景を探る。さらに、棟方志功、今純三、関野凖一郎ら青森県ゆかりの創作版画家との親和性にも着目。大衆文化と地域の美術史の両面から、ナンシーさんの作品を捉え直す。松江李穂学芸員は「SNS(交流サイト)やAI(人工知能)が氾濫する今だからこそ、ぶれない批評軸を持ち、物事の本質を辛抱強く見つめるナンシーさんの姿勢を感じてほしい」と話す。

 同館は本年度、ナンシーさんの作品や資料の調査・研究を本格化させる方針を決定しており、本展をその第一歩と位置づける。平田オリザ館長は「ナンシー関という社会現象を美術館としてどう整理、保管していくかは大事な要素であり、新しい挑戦だ」と話している。12月23日まで。

眼鏡やカッター、手帳などナンシーさんが愛用した道具

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