帰る実家がない人たちに…移住者が民宿開業へ 秋田市上新城

民宿開設に向けた準備が進む秋田市上新城の「みんなの実家」
 「実家がなくなった本県出身者の集う場に」―。埼玉県川口市から秋田市上新城に先月移住した門脇成英さん(64)が、自宅を民宿とする準備を進めている。門脇さんは仙北市出身。移住前から自費で都内や栃木県に県出身者向けの交流施設を開設してきた。「県外に住む本県出身者がくつろぐ場所をつくりたい」と意気込んでいる。

 民宿の名称は「おーる秋田・ふるさと館 門脇家」とする予定で、愛称は「みんなの実家」。秋田自動車道の秋田北インターチェンジ(IC)に近い場所にあり、築26年の木造一部2階建て。秋田市の空き家バンクを通じて、門脇さんが今年5月に購入した。

 1階は三つの和室がつながり、大きな柱や床の間、組子細工が入ったふすま、違い棚など日本家屋らしいたたずまいが特徴。居間や台所のほか、1、2階に計8部屋があり、宿泊は30人まで対応できる。敷地は約3490平方メートルと広く、玄関前には庭園や車庫などがある。

 門脇さんは首都圏秋田県人会連合会の副会長などを務める。2015年まで都内の防犯設備設計・施工会社に勤務。役員だった03年に栃木県那須町の別荘地、12年には東京・神田のビルに交流施設を開設した。

 同郷の人が集まり、つながりを生む場になればと、いずれも物件を購入し運営。格安の料金で県出身者の団体などに貸し出している。

 本県への交流施設開設は、秋田を離れた人が帰郷する機会を増やそうと、会社を退職した4年ほど前から検討していた。「生活の拠点を県外に移して定年を迎え、『帰る実家がない』と話す本県出身者が多い」と門脇さん。知人から空き家バンクを紹介され、今回の物件を見つけた。

 入居した先月から部屋の掃除や改修を行っており、旅館業法に規定される「簡易宿所」の認可が市から下りれば、来月にも営業を始めるという。家族は川口市に残し、当面は1人で営業に当たる。素泊まりのみで、宿泊費は1泊3千~4千円とする予定。

 門脇さんは「敷地が広くバーべキューなどもできる。食事の場に地元の人も呼んで、交流を生む場にしたい」と笑顔を見せた。

 門脇成英さんが東京・神田で運営する交流施設「おーる秋田・東京ふるさと館」が、今年12月15日で閉館する。運営費の負担が大きい上、売却してその収益を秋田市の「みんなの実家」の整備費に充てることが理由という。

 東京ふるさと館はJR秋葉原、神田両駅から徒歩約5分。千代田区神田須田町にあるビル5階の一室で、広さは約33平方メートル。約30人分の机や椅子のほか、コピー機がある。

 使用料は1人当たり1日千円、年間3万6500円と格安。2012年の開設以来、在京のふるさと会や高校のOB会などから会議や飲食の場として利用され、各団体の郵便物が届く“私書箱”の機能もあった。

 運営にかかる費用はローンの返済や光熱費などを含め年間200万円ほど。運営を引き継ぐ人が見つからなかったという。門脇さんは「これまでの利用に感謝したい」と話している。

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