縄文の生活、3Dで 大湯環状列石観光用アプリ・映像が完成

縄文時代の暮らしを疑似体験できる3D映像
 世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」を構成する大湯環状列石の観光活用に向け、縄文時代の暮らし体験プログラムとして、秋田県鹿角市が制作を進めてきた映像作品や遺跡周遊用アプリが完成した。ガイダンス施設・大湯ストーンサークル館で25日から一般公開される。アプリも同日からダウンロードできる。


 「縄文シネマ~JOMON大湯ココロの旅」は、3D映像で縄文時代の暮らしが疑似体験できる。当時の食や祭り、世界観などを四季の移ろいとともにまとめ、縄文人が大切にしたとされる「争いをせず助け合うこと」が感じられる内容になっている。

 作品は約15分。改修された万座ホールの大画面(縦約3メートル、横約16メートル)で、25日以降は午前9時半から約30分おきに1日18回無料公開する。

 展示ホール内には、特徴的な土器や土版など27点の映像を立体的に表示(360度回転可)するホログラムピラミッドを新設。エントランスホールには、遺跡の配置や外観をイラストマップで紹介する「タッチパネルディスプレー」と、遺跡の特徴を解説する「ガイダンス映像」を流す機器を設けた。


 周遊用アプリは、スマートフォンなどにダウンロードして利用する。遺跡の周遊路に設けた12カ所のポイントでスマホをかざすと、拡張現実(AR)が体験できる。現実の風景に、仮想世界の縄文人などが重ね合わせて表示され、食物を貯蔵する様子などが見られる。アプリには図鑑機能もあり、大湯環状列石から出土した土器や土偶などの写真約30点を360度回転させながら見ることができる。

 市は、大湯環状列石の価値を後世に伝え保存すると同時に、観光誘客につなげようと、文化庁の「生きた歴史体感プログラム促進事業」を活用。2021年度から「食」「まつり」「暮らし」の3分野で縄文時代の体験プログラム作りに取り組んできた。

 市によると、「暮らし」のほか、「まつり」の体験プログラムも完成した。▽縄文衣装を着ての記念撮影▽石運び体験▽石組み体験▽土器または勾玉(まがたま)の制作体験―などを行う予定。地域DMO(観光地域づくり法人)・かづの観光物産公社が、25日から道の駅かづののホームページなどで参加者を募集する。

 「食」のプログラムは既に21年度から始まっており、これで3分野全てのプログラムが完成した。関厚市長は「縄文産業として、遺跡の魅力や価値を生かした取り組みを展開したい」としている。

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